JICAシニア海外ボランティア活動報告
5. シリアの生活環境
生活環境
配属先の勤務時間
- ティシュリーン大学の勤務時間: 日、月、火、水、木の5日制 08:00 − 15:00、昼休みなし
- 学生の授業時間: 08:00 − (17:00、カリキュラムによりまちまち、土曜日も授業がある事が多い)
- SVの勤務時間: 08:00 − (17:00頃、昼食持参して勝手に昼休みを取り、帰りはフレックスタイムもどき)
メカトロニクス学科の授業(助手スーハさんのPICマイクロコントローラの講義) モータ制御装置の説明を聞いている学生
メカトロニクス学科の授業(私のPICマイクロコントローラの講義) 学生プロジェクト(卒業研究など)の計画発表会
シリアの休暇(イスラム暦による休日は西暦では毎年変る)
- 預言者聖誕祭(3月)
- 革命独立記念日(3月)
- 母の日(3月)
- イースター(4月)
- ナショナルデイ(4月)
- メーデー、殉死者記念日(5月)
- ラマダン明け大祭(9月 or 10月)
- 戦勝記念日(10月)
- 犠牲祭(11月)
- イスラム暦元旦、クリスマス(12月)
郵便、通信事情
- 郵便事業そのものが未発達、宅配の郵便事業はない。 都市には国営の郵便局がありそこに行けば外国郵便(航空便、EMSなど)も出せる。英語はあまり通じない。 日本からの郵便物を受け取るにはJICA事務所気付が最も確実。aramex便などの私企業も利用できる。
ラタキア市の郵便局、外観を見ただけでは分からない、入り口も日本とはだいぶ違う。
- インターネット: もちろん使えます。 大学などではADSLだろうと思いますが使用者が多い時間帯には速度が著しく遅くなりよくタイムアウトになります。 さらにサーバの管理が悪く、よくサーバが落ちて通信そのものが出来なくなります。街の中にはインターネットカフェーもあります。日本語フォントをインストールしたPCを用意している店もありますが一般的ではありません。自分のノートパソコンを持ち込むのが一番です。持ち込むと使用料金が割引になります。ダマスカス旧市街内のインターネットカフェーで無線LANを使おうと設定したらちゃんと使えました。無線LANの使用料金は無料でした。
- 著作権を保護する法律がないのでコピーソフトが大量に使われていて、それに伴いコンピュータ・ウイルスがまん延しています。 学生やスタッフが使っているUSBフラッシュメモリにはほとんどウイルスが常駐しています。 これでデータをやり取りすると必ずウイルスに感染します。自分のパソコンには必ずウイルス対策ソフトをインストールしておく必要があります。 しかも、重量な注意点があります。シリアではアメリカ製のウイルス対策ソフト(マカフィーやノートンなど)を使えません。 アメリカの対シリア経済制裁の関係でシリア国内からウイルスデータの更新をしようとするとアメリカの会社のサーバは自動的にリクエストを遮断してしまうのです。 私は日本の会社が販売しているウイルス対策ソフト(ウイルスセキュリティZERO)のインターネット・ダウンロード版を購入し使いました。 ウイルスデータの更新は無料でシリアでも問題なくデータ更新出来ました。データ更新が有料のソフトに比べウイルスの検出率はやや低いと報告されていますが、安い割に十分役に立ちました。
- 停電も良くあります。計画停電は4時頃1,2時間が多い。この時間は現地の人の昼寝時間らしい。 私が勤務時間を午後5時ころまで伸ばしていた理由の一つはこの計画停電時間を避けるためでした。 なお、大学など重要な施設は自家発電装置を持っていて公共的な停電の時は自家発電装置を動かします。 大学構内のあちこちに汽船の煙突のようなものがあり、時々大きい発動機の音がして煙が出ていました。 最初なんだろうと思ったのですが、これが自家発電装置だった。
住居およびその環境
- 私は最初の2年間は通勤の利便性を重視し大学と道一つ隔てた場所に住みました。 住居は一人生活にとって広すぎます。 日本人は石造住居になじみが薄いので特に風呂場で滑って打撲傷になるおそれに気づき注意しました。3年目に海岸に近い別の住居に引っ越しました。
- 断水にそなえ水道栓は水道直結と屋上貯水槽直結の2系統ある。
- 住居レイアウト: 全ての窓とベランダの戸鉄格子付
窓(鉄格子付)の向こうは大学構内 風呂場(西洋式、バスタブの底は凹面になっていて特に滑りやすい)
台所、貯水槽からの温水と冷水それに水道直結の3つの栓がある 3年目に引っ越した借家の全景、この3階に住んだ
交通事情
- 交通手段
- 道路の状態: 全舗装
- 職場へはバスと徒歩で通勤(市内循環バス料金往復切符10SP (\20))
- JICA報告会へは都市間大型バスを利用(ラタキア・ダマスカス間の料金は片道250SP (\500))
- 近郊への移動にはセルビス(現地のマイクロバス)が安く便利だが運行図がないので慣れが必要
- 注意点
- 自動車の交通量が多い割に横断歩道が少なく信号機も少ないので道路の横断が難しい。
- 車両同士の接触事故、我先にと割り込むような運転が多い。
- ラタキアからダマスカスに行く大型バスが車輪のパンク1回、小型トラックと接触事故1回起こした事態に遭遇した。 いずれの場合も1時間くらい待って代替車が来た。
- 音楽コンクールに参加するためラタキア向けのバスに乗ったJOCVがバスのスリップ転倒事故に会った。 幸い打撲程度ですんだが、JICA事務所からの連絡を受けて私はラタキアに着いてから病院に行く手配を現地の友人の助けを借りて行った。
ダマスカスとラタキアを結ぶ高速道路(無料)、中央分離帯とトラクターが見える、アラビア語と英語表記の道路標識がある。
田舎の山道で遊牧民と会った、舗装道路だ。さらに山頂まで行くとロバを連れた働き者の親子に会った、自然な道路だ。
セルビス、ダマスカス市内から長距離バス停に10SPで行く ド派手!とびっくり、地方街間のバスと聞いた
都市間大型バス(三菱製かベンツ製) 車輪のパンク(3年間で1回遭遇)、代替えのバスが来た
治安状況および安全対策
- 治安状況
- シリアは治安の良い国で日常生活上の不安はありませんでした。
- 日本のマスコミにシリアはほとんど登場しないので分かりにくいのですが、市販の「地球の歩き方」などの旅行案内に紹介してあります。 3年間生活してみてその紹介記事の正確さには驚きました。
- 安全対策
- JICA事務所が具体的な防犯対策を指示し、特に安全な住居に住むことになっています。
- パスポート、イカーマ、現金、パソコンの保管には特に注意する。私は何の問題にも会わなかったのですが、 同僚が部屋の工事に出入りした人(推定)に現金を盗まれたと報告した例があります。 大家は警察ざたにしたくないから私が払うと言って現金をくれた。しかし翌月からの家賃を値上げされ、結局けんか分かれで彼は引っ越す事にした。
- 写真撮影には制限があるのでJICA事務所からの注意やカウンターパートなど現地の人の忠告を守る。 軍事施設の撮影は禁止です。その他の経験: JICA報告会、懇親会の後で夜中にホテルに帰る途中、 大きく奇麗な建物の写真を撮ったら守衛と秘密警察と思われる人が近づいてきて今撮った写真を見せろと言う。 デジカメのモニタに出すと消せと言う。消去したら無罪放免された。政府関係の建物だったようだ。 写真撮影の規制は日本と違い厳しいと実感した。
- JICA報告会への参加や旅行時には安全と言われている都市間大型バスを利用する。
- 女性の安全対策についてはJICA事務所から連絡される。個人情報なのでJICA事務所は公にしないが、 セクシュアルハラスメントに会った女性もいたようです。
都市間大型バスの例、数社が競争して乗り入れているので乗り心地は快適、運賃は日本に比べればえらく安い。
日常生活において留意すべき現地のタブー
- JICA事務所が定期的に安全対策連絡協議会を開くので家族同伴の場合家族も含めて全員出席します。ここで聞くことが重要です。
- シリアの法律を守る(どこの国でも当たり前)。
- 外国滞在中の日本人は写真撮影が好きだ。軍事施設の写真撮影はタブーと聞きました。
- それ以外は特にタブーと言うほどのことは無いと思います。注意として、不用意に政治批判をしない事と聞いています。
- JICA事務所からの注意として、過去の悪い例(飲酒運転集団死亡事故)から自家用車の運転をしないようにと言われています。
左の写真は滞在したダマスカスのインターナショナルホテルのレストランで撮ったものです。背景にランドマークのカシオン山が見えます。 実は、このカシオン山には軍事施設があるので近くから撮影するのはタブーだそうです。
JICAシニアボランティアが撮影中に警察に捕まって勾留された事があるとの報告を聞きました。注意しましょう。
医療事情
- 主な病気
- シリアの気候は南の砂漠地帯、北の山岳地帯、地中海に接する地帯と多様ですが年間降水量はすくない。 その為かこれといった風土病がありません。遊牧民には羊の寄生虫起因の風土病があるとは聞いています。
- シリア人にとって最も多い危険性はメタボ・シンドロームに陥ることでしょう。シリア人は一般に良く食べよく太ります。
- 赴任当初5人中4人がひどい下痢をした。現地の医師の処方した薬で治ったが生野菜などは要注意。 でも1年もすれば何でも食べられるようになった。これ以外では風邪をひいた以外健康上何の問題もありませんでした。
- 医療体制
- 各都市には公立と私立の病院があり、公立病院はたいてい無料です。 私立病院は設備が整っていることが多く、有料です。ダマスカスではJICAの健康診断書も書ける診療所があり、任期延長のための健康診断で利用したことがあります。
- 薬局は多い印象、街で英語の"Pharmacy"の表示をよく見る。医者で処方箋をもらい薬局で薬をもらうことが出来る。
ダマスカスにある私立シャームクリニック (Cham Clinic) 入り口
私は任期延長のためこの診療所でJICAの健康診断書を作ってもらった。
看護婦さんに至るまで英語が通じ、テキパキとした仕事ぶりにはシリア社会の新しい面を見た思いがしました。
超音波診断装置は日本製(東芝)でした。
日常の食生活
ご飯を食べますか?
- シリア人は結構米を食べます。近くの店で大抵エジプト米を買えます。細長い種と日本米のような種と両方置いています。 店によってはオーストラリア産のSUNROSE米を扱っています。 エジプト米は古米?といった感じがしますがSUNROSE米はアメリカのカルフォルニア米と同じようで日本米とかなり近くおいしいと思いました。
- 日本人が使うような炊飯器はないので持参したほうが良いと思います。 日本の外国出張用品を扱う店で外国に持参できるよう220V動作、軽くコンパクトな炊飯器を安く買えます。 住居は家具付きを借りることになるので、炊飯器以外はほとんど何でもそろっています。
エジプト米 オーストラリア米
ラタキアのレストランで食べたチキンライス、大学教師の田舎の実家に招待、ご飯と肉や野菜の煮込み、日本食に似ておいしかった
衣服(正装・仕事着・普段着)
衣 服
- 日本の職場で働く場合とほとんど同じです。
日本のテレビで見る産油国のアラビア人の服装(白いゆったりとしたガウン状の服装)とは異なり、ほとんどのシリア人はヨーロッパ風の衣服を着ています。
イスラム教の信心が深い女性はイスラムスカーフ(ヒジャブと言う、左下の写真に白いヒジャブを着けた女性が写っている、色や模様は何でも良く好みだそうです)を着けていますが、
大学職員の女性などはイスラム教信者でもヒジャブを着けないことが多いようです。右下の大学生にはヒジャブを着けた女性は誰もいません。
オールドダマスカスなどでは全身黒ずくめのゆったりした服装をまとった老婦人を見かけますが、私が赴任したラタキア市ではほとんど見かけませんでした。 - 女性向けにJICA事務所が注意点を伝えます。肌を露出する傾向の服装は避けるようにといった内容です。 シリア人女性の服装や化粧は日本人に比べ結構派手に見えます。 平均として見ればシリア人は日本人に比べ体格がよく肌の色も白人系です。 髪の毛は黒く目が大きくアイシャドウが似合う顔作りをしています。
ダマスカスのスーパーマーケットで (2006年10月) ティシュリーン大学メカトロニクス学科の4年生一同 (2006年12月)
メカトロニクス学科のスタッフ 教師の田舎の実家に招待されたとき
ダマスカス旧市街の城壁外にあるサラディーン像前と中に入った所、黒装束の婦人をよく見かける。
日常生活
物 価
- シリアの生活必需品関係の物価は日本に比べはるかに安い。食料品は重さで買う、
0.5, 1.0, 1.5, 2.0kgなどが普通、一般にとても安い。私がラタキア市で買物をした時の価格例(2007 - 2009年)を次に紹介します。
なお、100SP(シリアポンド)は約200円です。
- 米(50..100SP/kg)、鶏肉(100SP/kg)、鶏胸肉(200SP/kg)、ローストチキン(250SP/一匹)、魚(200..500SP/kg)、 牛肉(350SP/kg)、スパゲッティ(25SP/束)、ポテト(20SP/kg)、オレンジ(35SP/kg)、トマト(25..35SP/kg)、 キャベツ(30SP/大玉1個)、玉ねぎ(25SP/kg)、シャウルマサンドイッチ(25..50SP/個)、ミニピザ(10..20/枚)、 レバノンワインKSARA(350SP/本)、牛乳(35SP/1L)
- なつめ電球60W(中国製10SP)、プリント用紙A4(200SP/束)、白板ペン(日本製50SP/本)、ボールペン(日本製30SP/本)、 クリーニングYシャツ(25SP/着)
- 週1、2回食料品を買いに出かけたが、沢山(6, 7 kg)買っても1,000SP (2,000円)を超すことはほとんどなかった。
ポテト2kg、玉ねぎ1kg、トマト1kg、なす1kg、オレンジ1kg、さやいんげん0.5kgなどの買物
私は北海道出身でおいしいポテトを食べているが、シリアのポテトのおいしさにびっくり!
シリアにはポテト栽培援助のため働いているJICAシニアボランティアがいます。
最大の危険はウイルス感染なので、無菌状態の培養ビンの中で栄養生殖により種いもを作って農家に分配する大事な仕事をしているのです。
賃 金
- 一般に人件費は低い。それに伴って人件費の関係する料金、例えば散髪、クリーニングなどはえらく安い。
インフレ
- 滞在期間の 3 年間で石油価格の急上昇に伴ってバス料金、ホテル料金が大幅に上昇した。
- 都市間バス(ラタキア、ダマスカス間片道): 2006年12月 150SP (\300) -> 2009年03月 250SP (\500)
- ホテル一泊: 2008年04月 2500SP (\5000) -> 2008年05月 3400SP (\6400) -> 2009年03月 $113(5650SP (\11300)
風俗・宗教・文化・習慣
- 宗教
- イスラム教85%(スンニー派70%、アラウィ派12%)、キリスト教13% (地球の歩き方 '07 - '08 ヨルダン シリア レバノン参照)
シリアは隣国にくらべ宗教的な雰囲気が少ない。その雰囲気を感じるのは1日5回の礼拝時刻を告げる呼びかけ(アザーンと言う)がスピーカーから流れる時です。 最初は違和感を覚えたが、ゆったりした歌のような肉声で、あれっ、これって日本の民謡の旋律みたい、と思うようになった。長くはつづかない(2, 3 分?)のでじきに生活音のひとつになって気にならなくなった。 - イスラム教の信心が深い女性はイスラムスカーフ(ヒジャブと言う)を着けていますが、 大学職員の女性などはイスラム教信者でもヒジャブを着けないことが多いようです。
- ラタキア市ではイスラム教徒でもお酒を飲む人を沢山見ました。強い特産蒸留酒アラックを良く飲む。
- イスラム教85%(スンニー派70%、アラウィ派12%)、キリスト教13% (地球の歩き方 '07 - '08 ヨルダン シリア レバノン参照)
- 風俗・文化・習慣
- 街の中や旅行先で見知らぬシリア人の親切に触れることが多い。 JICAで働く我々の話題でもほとんどの人がこのようが経験をしていることを聞いてシリア人の文化に驚きます。 文明の十字路と表現される交易中心の長い歴史と助け合いの宗教精神がこのような文化を生んだと理解しています。
- シリア人はお互いの挨拶を大事にする。まず握手、そして親密度におうじて性別に関係なくほおキスなどをする。シリア人に頭を垂れておじぎをする習慣はない。
- 大学工学部には女性が多くエンジニア(日本の助手相当)にも女性が多い、日本より男女間の差がない様子。 他方、街ではスークに食料を買に来る女性をあまり見ません。レストラン、バス、商店等で働く女性の姿をあまり見ません。 これらはジェンダーに関する習慣のようです。
- アルコール飲料(アラック、ビール、ワインなど)は店で良く見かけるが、豚肉はほとんど見かけない。イスラム教徒は豚肉を食べないためだ。理由は豚は不潔な動物だからと言う。現在では、豚はヒトと共通のウイルスの宿主になる(肝炎やインフルエンザ)ので生肉を食べてはダメと分かっている。多分イスラム教が成立した頃、経験的にこの事実を知っていたためだろうと推測した。ダマスカスのキリスト教系の店はワインなどの他に豚肉のベーコンも売っていた。
- 日本人は馬肉も食べると話すとびっくりされる。馬は私たちの友達ですよ、と。日本人は犬や猫の肉は食べない、習慣によって食肉の種類はずいぶん違うなあ。
- 生活パターンの違い
- 勤務時間: シリア社会の勤務時間は普通 08:00 - 15:00 です。昼休みの時間はなく、帰宅後昼食をとります。 私は2つの理由で日本式の勤務をとりました。理由1: 4時頃計画停電があり帰ると返って不便、理由2: 2年である程度の専門的な仕事結果を得たい。
- 買物: 食料品の買い出しは男性の仕事のようです。ホブズ(シリアパン)の買い出しはよく男の子がやっています。 スーク(市場)に食料を買いに来る女性をあまり見ません。
- 全般に、シリア人の生活パターンをそう意識することもなく生活できます。
- 日本人として気をつけること
- JICA事務所で定期的に開催される安全対策連絡協議会で確認することが重要。 シリアの法律を守る、交通事故に注意する、政治批判の会話を控える、政治的なデモ行進などに近づかない、服装、飲酒、ラマダン期間中の注意などです。
- 赴任当初5人中4人ひどい下痢を経験、その後は風邪をひいた以外健康上何の問題もありませんでした。
- シリア人は平均すれば大変親切なのですが、稼ぎが収入に直結するタクシーの場合、運転手によっては日本人と答えるとボラれることがあります。新道路交通法が施行され、メーターを意図的に働かせない行為は処罰対象になります。でもメーターの場合より2倍も3倍も多い額を請求されることもあるのです。経験感情ですが、やたらと話しかける運転手はうさんくさい。
余暇利用
- スポーツ
- ラタキア市は地中海に面しているので海水浴ができます。地中海の海水は澄んでいてきれいに見えます。 特にきれいな海岸は高級ホテルのプライベートビーチになっています。私はアスリートではないのであまりスポーツはしませんでした。 海水浴には2,3回行きました。
- ジョギングをしているボランティアはかなりいるようです。
- ゴルフが得意な人はJICA報告会で上京する時を利用してプレイしていました。
- JICA事務所の主催で運動会が開かれます。
ラタキア港と魚市場の間の海岸にはレストラン・コンプレックスが開発され観光客がよく足を運びます。この辺で自由に海水浴ができます。
ただし、海水浴場ではないので脱衣場や安全監視はありません。
水はとてもきれいです。ただし、気になる点が一つ、ゴミのポイ捨てが多く、微生物分解されないプラスチックのゴミがやたらと目につく事です。
ラタキアより北、トルコに近い海岸です。この辺は海水浴場として整備されていて、脱衣場や水道設備もあります。
家族が海水浴に来ているようです。敬虔なイスラム教徒は黒装束を着けたまま海水浴をするんだ、ちょっとびっくり。
大学の先生がトルコに近い海岸に海水浴場に連れて行ってくれました。あまり遠浅ではありません。少し先に行くともう背がたたなくなった。 静かな感じの地中海だけど、海岸に近づくと急に波が高くなる。これは遠浅でない地形のせいだ。
- 旅行
日用品、家電製品等
- パソコンと周辺機器の必要性は?
- ノート型パソコンは仕事に使うので必須です。プリンタやスキャナは現地で安く買えるので持参する必要はありません。
- 日本で買ったPC内臓モデムとコネクタで問題はないですか?
- 問題ありません。アパートについている電話のコネクタは普通2Pソケットでモジュラージャックと異なります。 でも電気パーツ店で変換アダプター(左図)を安く売っていますから心配ありません。
- 炊飯器は持って行ったほうがいいですか?
- 日本人が使うような炊飯器はないので持参すると良い。箸、しゃもじ、日本式の茶碗、急須も使う予定の人は持参すると良い。 住居は家具付きを借りることになるので、純日本式以外の食器類(大中小の皿、包丁、まな板、コップ、ナイフ、フォーク、スプーン)、 鍋やフライパン等はほとんどそろっています。無ければ契約時に要求できます。
- 日本の外国出張用品を扱う店で外国に持参できるよう220V動作、軽くコンパクトな炊飯器を比較的安く(9000円弱)買えます。
海外向け炊飯器の例:3合炊きRZ-DT3Y 価格 8,480円 炊飯器で炊き込みご飯を炊いてみた
借家の台所、電子レンジは要求して設置してもらった 台所のガスレンジ、鍋とケットルをのせてみた
- シリアの電源プラグはどのタイプでしょうか?
- 1つの部屋の中にB型とC型が混在しているような状態です。シリアでも購入可能ですが、 私は日本で世界電源プラグ変換セットを購入して行きました、赴任直後大変役に立ちました。
- 220V- 110V変換器(変圧器)はシリアで買えます。この点不明だったので私は携帯用の小さい220V-100V変換器を持って行きました。
- 保湿クリームなど、シリアでも買えますが自分に適するのがあったら持参した方が良い。
- 薬:赴任当初5人中4人ひどい下痢を経験した。持参した胃腸薬は役に立たなかった。現地の医師からもらった薬で1週間以内に治った。
風邪もひいた、持参した風邪薬も役に立ったとは思えない。薬の持参は気休め程度なのかもしれないなあ。
赴任当初宿泊したホテルの朝食、どうやらこの中の生もの(野菜、ナチュラルチーズ、ジュース)が下痢の原因だったらしい。
右図は現地の医者からもらった薬、抗生物質でしょう、1つぶの大きさが体格の良いシリア人向けなので大きい。
現地で購入したクリーナスポンジ、歯磨き粉、石けん
下にあるのが丸い容器入りとチューブ入りの保湿クリーム
- どのようなパソコンや周辺機器を買えますか?
- アメリカの経済制裁が2009年現在なお続いているので機種が限定されます。 シリアでも沢山のWindowsパソコンが使われています。たいてい各種パーツを組み合わせたオリジナルブランドのパソコンです。 その他、hp製やDELL製のパソコンを見かけます。価格は日本で買うより少し安いかなと言ったところです。
- 周辺機器として、プリンタではhp製、Canon製、Brother製などがあります。スキャナではhp製、韓国製、中国製などがあります。 USB Flashメモリーは豊富にあります。電気や機械工作用の工具類は殆ど買えます。
生活費の使い方
- JICAから支給される生活費の中で使った額の大きな項目
- 国外旅行、国内旅行、個人的な都合による一時帰国、仕事用にコンピュータ機材、日本への荷物郵送、お土産など
- 仕事用に購入して持参:USB2.0対応高精度アナログ入出力ターミナル (AIO-160802AYUSB) 販売価格:54,810円
- プリンタ購入 (Canon製 5,000SP)、スキャナ購入 (hp製 3,000SP)
- ホテル宿泊費:JICAの規定以上のホテルに宿泊した場合、私費で払う
- 日本へのお土産: 金のアラビア文字ペンダント、金のネックレスチェイン (3,500SP)、モザイク模様の箱 (1,200 SP)
- Aleppo -> Damascus航空券 (2006/12/28) 1,120SP
- チュニジア旅行 (2006/12/27 - 2007/1/3)
- ヨルダン旅行 (2007/4/6 - 2007/4/9)、持参お金($600, 5,000SP)
- シリア北西部ツアー (2007/5/3〜2007/5/5): 旅費$100 + 食事代、持参お金($300, 10,000SP)
- 2 days/night cost $225, From 10 airport to Palmyra, next day to Lattakia via sites & cities5 seats diesel van with driver, fuel $12/20 litres included (2007/8/10)
- キプロス旅行 (2007/10/12 - 16): 航空券$290, 3泊バス等710 合計$1,000
- エジプト旅行 (2007/12/13 - 20) :Aleppoからカイロ行き航空券$325、持参お金($1,200, 5,000SP)
- ギリシャ旅行 (2008/3/27 - 31): マリソルツアーズ 日本人旅行会社にツアー代金支払う EUR343.1
- イタリア旅行 (2008/3/31 - 4/4)
- ゴルフのプレイ代金: ゴルフの好きな人は定例会の翌日に行っていた
イスラム教は偶像崇拝を排する。代わって書道が発達した。アラビア文字を使う装飾デザインを良く見かける。
ダマスカスのハンドクラフトセンターに行くと、名前をアラビア文字でデザインした金や銀のペンダントを作ってもらえる。 - シリアの生活必需品関係の物価は日本に比べはるかに安い。食料品は重さで買う、0.5, 1.0, 1.5, 2.0kgなどが普通、一般にとても安い。
私がラタキア市で買物をした時の価格例(2007 - 2009年)を次に紹介します。なお、100SP(シリアポンド)は約200円です。
- 米(50..100SP/kg)、鶏肉(100SP/kg)、鶏胸肉(200SP/kg)、ローストチキン(250SP/一匹)、魚(200..500SP/kg)、 牛肉(350SP/kg)、スパゲッティ(25SP/束)、ポテト(20SP/kg)、オレンジ(35SP/kg)、トマト(25..35SP/kg)、 キャベツ(30SP/大玉1個)、玉ねぎ(25SP/kg)、シャウルマサンドイッチ(25..50SP/個)、ミニピザ(10..20/枚)、 レバノンワインKusara(350SP/本)、牛乳(35SP/1L)
- なつめ電球60W(中国製10SP)、プリント用紙A4(200SP/束)、白板ペン(日本製50SP/本)、ボールペン(日本製30SP/本)、 クリーニングYシャツ(25SP/着)
- 週1、2回食料品を買いに出かけたが、沢山買っても1,000SP (2,000円)を超すことはほとんどなかった。
- ホテルや店でおつりの小銭がないと言われる事が多い。買物に使う100SP 紙幣を銀行で入手しようとしてもない事が多い。
左の写真はアラビアコーヒーのパッケージ。中東ではよくトルココーヒーと聞く。小さいカップに細かく惹いたコーヒーを直接入れて湯を注ぎ上澄みを飲む。
いわゆるアメリカンコーヒーより濃い。最初の頃、味がかなり違うのでコーヒー豆自体が違うのかと思っていた。
イエメンの留学生からコーヒーはイエメンが原産地でモカコーヒーはイエメンの港の名前だと教わりイエメンコーヒーをもらった。
何だ、コーヒー豆自体は同じなんだ。自分で入れたら日本で飲むコーヒーとほとんど違わなかった。
ただし、スパイスいりのコーヒーもある。これにはハッカ風の風味が加わる。
With Cardamomと英語でも表記されていたので分かった。私はめずらしさからカーダモム入りのコーヒーを買って自分で入れてよく飲んでいた。
カーダモムの割合もMocha Pure Coffee, With Cardamom, With Cardamom, Plus Cardamom, Extra Cardamomと5段階あった。
レバノンワインKSARA。街の店で簡単に買える。私は弱いのであまり飲まなかったが、名品KSARAを350SP (約700円) で買える。
ラタキアにはラタキア港があり門番の許可が必要だが中に入ると免税店がある。ここで KSARA ワインを$6 で売っていた。
徒歩で入ろうとすると構内タクシーを使えと言われ免税額以上の料金を取られる。現地の人と一緒に自家用車で入るのが良い。お酒の好きな人は定期的に免税店を訪れたそうな。
おみやげは必要か、もっていくとすれば何が喜ばれるか
- 配属先で日常接するだろう人向けにあまり高価でない適当なおみやげを持って行くと良いと思います。
- 私はインターネットの海外向けおみやげ店や地元の文房具店を利用しました。 日本のボールペンは品質が良くかさばらないので良いと思います。 でも2009年ころには赴任地のラタキアの文房具店でもMade in Japanのボールペンを扱うようになっていました。 多分、学生がたくさん使うためでしょう。大学のアシスタント(女性)に日本製の品質の良いはさみをやったら喜んでいました。 同僚は日本製の爪切りをあげていました。日本美術をプリントした布もあげました。ただし、シリアは織物の産地でもあり日本人がお土産に買って帰る事も多いのです。お土産にはなにが良いのか悩んでしまうのが現実でした。
日本で準備しておけばよかったと思った各種情報
- 仕事関係
- 外国の大学工学部で仕事をするのは米国に続き2回目なので、準備すべき事はかなり予想できた。技術分野で仕事をし、2年間で工学研究の成果を出すためには、まず実験装置を短期間で製作しなければならない。着任後すぐに現地で資機材を調達することは現実的に困難なので最低限必要な資機材(パソコンに接続する制御用の周辺機器や技術専門書)は自費で持参した。このような準備は実験のためであり他の分野の参考にはならない。
- JICAの派遣前研修期間に語学プレゼンテーションの時間があった。予想される実際の仕事を想定して発表原稿を作ったが、赴任後に実際役に立った。
- 余暇利用
- いろんな所に旅行に行くと思います。想定する場所の旅行案内書を持って行くと大変役に立ちます。
- スポーツを考えている方はその用具を持って行くなど。
- パソコンや周辺機器関係
- 持参するのはモデム内蔵型のパソコンであること。職場によってはLAN経由でインターネットに接続できません。
- パソコンにはウイルス対策ソフトが必須、しかも、アメリカ製のウイルス対策ソフト(マカフィーやノートン)はウイルスデータをシリアから更新出来ない(アメリカの経済制裁のため)ので使えません。私は日本製の「ウイルスセキュリティZERO」をインターネット経由で購入して使いました。安い割にデータ更新が無料でシリアでも十分有効でした。